3ヶ月前:「このままでは、大腿骨を折るような転倒の危険があります」
駐車場での出来事の3ヶ月前、私は健康診断の結果を受けて、整形外科のリハビリ室にいました。
「山田さん、バランスが気になります」と、理学療法士の榊原先生は言いました。「長年、底が厚くてかかとの高い普通のブーツを履いてきましたよね?」
「それが実は、足を弱らせているんです。筋力が本来あるべきより落ちていて、足が地面をきちんと感じ取れなくなっている。転倒の危険が本当に高い状態です」
胃がきゅっと縮みました。「どんな危険ですか?」
「今の状態だと、病院に運ばれるような大きな転倒を起こしかねません。大腿骨の骨折、手首の骨折、もっと悪いことも。今、何かを変えない限りは」
「じゃあ、どうすれば? 朝の散歩はやめるべきですか?」
「いえ、逆です。足の力を取り戻す必要があります。それで、ちょっと意外に聞こえるかもしれない提案があるんですが……」
先生は北海道の冬に「ベアフットブーツ」を勧めました……冗談かと思いました
「ベアフットタイプの冬用ブーツに替えてみてください」と榊原先生。
私は笑ってしまいました。「ベアフット? 北海道の冬に?」
「説明しますね。今のブーツの厚いクッションソールは、いわば感覚を遮断しているんです。脳が地面を感じ取れない。足の指が地面をつかめず、バランスも取れない。足の筋肉が働いていないんです」
先生はある研究を見せてくれました。
「ベアフットタイプの靴が、高齢者のバランス感覚、固有感覚(体の位置を感じる力)、転倒予防を平均47%改善したという研究結果があります」
「でも、冬にそれでどうやって?」
「そこが画期的なんです。今は冬専用に設計されたベアフットブーツがあります。地面をつかめる広いつま先、地面を感じられる薄くて柔らかいソール、正しい姿勢のためのゼロドロップ設計。それでいて撥水仕様で暖かく、冬用の本格的なグリップソールなんです」
先生は、冬用ベアフットシューズの名前を書いてくれました。
「アクティブに自立した生活を続けたい60歳以上の患者さんには、みんなにこれを勧めています。1ヶ月試してみてください。安定感と自信が増したと感じなければ、返品すればいいんです」
半信半疑でした。でも、転ぶのが怖いからと生活を狭めるなんて、私には選べませんでした。
何年ぶりかで、怖がらずに氷の上を歩けた日
届いた箱を開けると、ブーツは驚くほど普通に見えました。医療用っぽくもなく、野暮ったくもない。ただのブーツです。
でも足を入れた瞬間、何もかもが違いました。つま先はゆったりと広く、足の指を広げる余裕がありました。
ソールは薄く、床を感じられました。足の裏が完全にフラットに収まったのです。
3日目、買い物に行く必要がありました。このブーツが本当は何ができるのか、試すときが来ました。
うちの前の道は、毎年冬になると凍ります。私はいつも、車につかまりながら、ちょこちょこと小刻みに歩いていました。
でもその朝、私は新しいベアフットブーツで、道の端までまっすぐ歩いたのです。
足が凍った部分を踏んだとき、今まで感じたことのないことが起きました。
すぐに分かったのです。すべり始めてからではなく、その前に。
足の指がつかむ。足が合わせる。体が勝手に補正する。
私はそのまま郵便受けまで歩き続けました。
たどり着いたとき、一度もすべっていないことに気づきました。
何年ぶりかで感じる、しっかりした足元でした。
何年ぶりかで、私は怖くなかったのです。
7歳の孫・悠斗(ゆうと)は、遠慮のない子です。
雪の日に学校へ迎えに行くと、私を見てこう言いました。
「おばあちゃん、雪だるま作ろうよ」
試されているのです。
去年の冬は、いつも「だめ」と言っていました。
今回はこう答えました。「いいよ! やろう!」
悠斗は目を丸くしました。「ほんとに?!」
私たちは1時間、外で過ごしました。走り回って、雪を固めて、笑って。
足はずっと暖かく、乾いていて、安定していました。
娘が迎えに来ると、悠斗は駆け寄って叫びました。「ママ! おばあちゃんが雪で遊んでくれた!」
娘はぽかんとして私を見ました。「お母さん……何があったの?」
私はブーツを見せました。
3ヶ月後:このブーツが「冬に強い」と証明した、ほんの一瞬
話はあのスーパーの駐車場に戻ります。
新しい冬用ベアフットブーツを履き始めて4週間……
私の足の筋力と感覚は、かなり鍛えられていました。
でも、どれほど良くなっていたかは、あのブラックアイスバーンの瞬間まで分かりませんでした。
足が凍った路面を踏んですべり始めたとき、3つのことが一瞬で起きました:
- すぐに氷を感じ取った(薄いソールが瞬時に感覚を伝えた)
- 足の指が広がってつかんだ(広いつま先が自然な反応を可能にした)
- 足の筋肉が働いて体を安定させた(数週間の強化が効いた)
すべてが1秒もかからずに起きました。自動的に。本能的に。
体が自分を守ったのです。
昔のブーツなら……厚くて鈍いソールと窮屈なつま先で、私は思い切り転んでいたでしょう。大腿骨骨折。入院。リハビリ。
でも私はバランスを取り戻し、深呼吸して、そのまま歩き続けました。
家に帰って、榊原先生に電話しました。
「先生の言うとおりでした」と私は言いました。「このブーツに救われました」